日本最北端、オホーツク海と日本海に挟まれた北の最果て、流氷流れ着く稚内にあるニュークラブ絆で働く5人の女性は流氷の天使と親しまれ、欲望渦巻く夜の街を彩る夜の蝶、いや夜のクリオネである。
しかし、そんな夜のクリオネたちは過去に色んなやらかしを起こした問題児でもあったので、店長から「次に問題を起こしたら店をクビになるだけじゃなく、この業界にいれないようにする」と厳しく言いつけられていた。
ある日、開店前に呼び出された5人。店長は重い口を開く。
「お客様に癒しと夢の時間を提供するクラブ絆は、大人の夢の国なんだ。君たちは某ねずみのキャラクターなんだ。お客様を楽しませる夢の国ならぬ夢のニュークラブのキャストなんだ」
顔を見合わせながら、店長の言葉に頷く一同に店長が大声を張り上げる。
「それなのに、この夢の国、じゃなかった、夢のニュークラブのキャストの中に、思い切り、ゴリッゴリの肉食系営業をかけたやつがいる！　これはクラブ絆の禁止事項のはずだ！」
肉食系営業の証拠はあるが、犯人は誰かわからない。
絆グループの会長から、犯人が特定できない場合は連帯責任で全員クビにするように言われている店長は、絶対に肉食営業をかけた犯人を見つけ出すと息巻いている。
5人はこの業界でしか働いたことがない。ここをクビになったらどう生きていけばいい？　冬の稚内で店から放り出されたら、凍死以外の道はない……！
肉食系営業をかけていたやつを見つけ出せ！
稚内で一番熱い話し合いが始まる。

舞台「おむすび追いかけたら異世界でした」の幕が開いた。
元から完成度も高かったわけではない。それでも観劇に来てくれるファンのために、いいものを届けようと俳優たちは必死に頑張っていたのだが……。
公演三日目の夜公演。ステージ上でミスが頻発し、さらにはカーテンコールに出てこない俳優まで出てきてしまう。
あまりの出来事に、終演後の楽屋で衣装から着替えもせず会話も無く頭を抱える5人の俳優たち。
一人が口を開いた。
「これは良くないよ。良くない」
また一人、口を開く。
「お客さんは安くないチケット買って観に来てくれてんだぜ」
公演はまだ続いていく。より良いものにすべく、話し合おう。
楽屋で始まる、俳優たちの熱い反省会。
しかし、カーテンコールを飛ばした俳優・田中がいつまで経っても楽屋に戻ってこない。荷物はあるので、まだ劇場内にはいるはずだが、待っても待っても戻る気配がない。
そんな中、楽屋内で田中の死体が見つかる。パニックになる一同。
いつ？　誰が？　何故？
「カーテンコールに出なかったんじゃない。殺されたから出れなかったんだ……」
劇場で起きた殺人事件。
犯人はこの中にいる？

幕末末期、新選組内は荒れに荒れていた。
事故に見せかけた内部の殺人、金欠からの借金、色恋沙汰……。
さらには、新選組隊士が立て続けに討幕派によって暗殺されてしまう。
事態を重く見た鬼の副長・土方歳三は隊内の風紀を守る様々な策を講じ、さらに討幕派の集まりを一掃すべく討ち入りの計画を立てる。
京都某所の新選組隠れ屋敷に集められた男達。彼らは号令が下れば討幕派の連中に討ち入りを仕掛ける特攻部隊である。
いつ号令が下るかわからない緊張の中で男たちは剣を振り、酒を飲み、友情を育み、今日を必死に生きている。
そんなある日の早朝、隠れ屋敷内で隊士・呉城千代丸の死体が発見された。
これは、事故か？　それとも……？
土方歳三からの命を受けた、奉公人であり新選組内の密偵である太郎が、この隠れ屋敷で生活を共にしている5人の隊士を一室に集める。
「土方さんは、お前たちの中に呉城千代丸を殺した犯人がいると睨んでる」
局長、副長の許しも無しに私闘、暗殺は許されない。
五人は己の無実を証明するため話し合いを行う。
思惑、裏切り、血と涙。
様々なものが渦巻く幕末で、誠の真実を見抜くことができるか。

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